結論
- 国の補助事業の実績では、工事費込みで1kWhあたり約12万円(2023年度)。国の目標価格は12.5万円(税抜)です
- 7kWhなら約87.5万円(税抜)が物差し。東京都の補助70万円を引くと、自己負担は約17.5万円です
- 見積もりは「1kWhあたりの総額」と内訳で比べると、高いか安いかを判断できます
相場の物差しがわかったら、自分の家の金額がその範囲に入るかを、実際の見積もりで確かめましょう。
蓄電池の値段は、容量・機種・工事の内容で大きく変わります。ネット上の「相場」には出どころがはっきりしないものも多く、そのまま信じるのは危険です。このページでは、国の資料にある実績の数字と、国が定めた目標価格だけを物差しに使います。
物差しは「1kWhあたりいくらか」です。総額だけを見ると、容量の大きい機種ほど高く見えてしまいます。容量で割って比べると、見積もりが高めか安めかがわかります。
補助金の額は、住んでいる地域と容量でほぼ決まります。一方で、実際に払う額は設置費用しだいで、費用は業者や機種ごとに変わります。相場で目安をつかんだら、最後は見積もりで自分の家の金額を確かめることになります。
1kWhあたりの相場はいくら?
国の補助事業の実績では、2023年度の家庭用蓄電池は工事費込みで1kWhあたり約12.1万円でした。[1] 内訳は設備費11.1万円、工事費1.0万円です。[1] 2022年度は設備費11.7万円、工事費2.2万円でした。[1]
ただし、これは補助金を使った案件の平均です。補助事業以外の案件は、工事費を除いて1kWhあたり15〜20万円程度が標準的とされています。[1] 工事費は1kWhあたり2万円程度が標準的な水準とされています。[1] こちらは事業者への聞き取りによる値で、実績データより確かさは下がります。
| 区分(1kWhあたり) | 設備費 | 工事費 | 合計 | 出典・時点 |
|---|---|---|---|---|
| 補助事業の実績 2022年度 | 11.7万円 | 2.2万円 | 13.9万円 | [1] |
| 補助事業の実績 2023年度 | 11.1万円 | 1.0万円 | 12.1万円 | [1] |
| 補助事業以外(聞き取り) | 15〜20万円 | 約2万円 | 17〜22万円 | [1] |
| 国の目標価格(2025年度) | ― | ― | 12.5万円(税抜) | [3] |
合計は設備費と工事費を足した値で、資料の数字から編集部が計算しました。資料には税込か税抜かの記載がありません。[1]
補助事業の平均と目標価格はほぼ同じ水準で、補助なしの案件はそれより高めです。手元の見積もりを容量で割り、この表のどの行に近いかを見てください。1kWhあたり20万円を超えるなら、理由を聞いてみる価値があります。
容量で総額はどう変わる?
総額は容量にほぼ比例しますが、小さい機種ほど1kWhあたりの値段は高くなります。[1] 2023年度の実績では、5kWh未満は5kWh以上より1kWhあたり5万円ほど高い結果でした。[1]
工事費は1件ごとにかかる部分が大きく、容量が大きいほど1kWhあたりでは薄まるためです。ただし、工事費は案件ごとのばらつきが大きいとされています。[1] 工事費と容量の相関は見て取れず、メーカーや案件ごとに価格設定にばらつきがあるとも書かれています。[1]
出典[1] p.13(2023年度)
| 容量の区分 | 設備費 | 工事費 | 合計(1kWhあたり) | 総額の例 |
|---|---|---|---|---|
| 5kWh未満 | 15.0万円 | 1.6万円 | 16.6万円 | 4kWhで約66万円 |
| 5〜10kWh | 10.6万円 | 1.3万円 | 11.9万円 | 7kWhで約83万円 |
| 10kWh以上 | 10.7万円 | 0.6万円 | 11.3万円 | 12kWhで約136万円 |
2023年度の補助事業データによる値です。[1] 総額の例は「容量×1kWhあたりの合計」で編集部が計算しました。
容量を小さくすれば総額は下がりますが、1kWhあたりでは割高になりやすい点に注意が必要です。見積もりを比べるときは、まず同じくらいの容量どうしで比べてください。容量を変えた見積もりを並べるなら、1kWhあたりの値段に直します。
価格の内訳はどうなっている?
電池部分
5.6万円
PCS
1.5万円
その他
4.0万円
工事費
1.0万円
1kWhあたりの金額(計12.1万円)。2023年度。出典[1] p.12
- 電池部分: 電池そのものと、その制御装置。1kWhあたり5.6万円 [1]
- PCS(パワーコンディショナ): 電気を家庭で使える形に変える装置。1kWhあたり1.5万円 [1]
- その他: 付帯設備など。1kWhあたり4.0万円。何を含むかは事業者で異なります [1]
- 工事費: 基礎、据付、電気工事、付帯工事。1kWhあたり1.0万円 [1]
電池そのものは費用の半分以下で、PCSや付帯設備の割合も小さくありません。見積書では、この区分ごとに金額が分かれているかを見てください。「一式」だけの見積もりは、他社と比べにくくなります。
太陽光用のパワーコンディショナと一体になった機種(ハイブリッド型)は、PCSの扱いが機種で違います。比べるときは、同じ構成どうしで比べます。停電のときに家全体へ電気を送る機種(全負荷型)は、分電盤まわりの機器が加わることもあります。[7]
価格はこれから下がる?
価格は下がってきており、国はさらに下げる目標を立てています。ただし、いつどこまで下がるかを示す公式の見通しはありません。
2019年度の実績の相場は、工事費込みで1kWhあたり18.7万円でした。[2] 2023年度の補助事業の実績は12.1万円です。[1] 国の検討会は、2030年度に工事費込みで7万円/kWh以下(税抜)という目標を示しています。[2]
2019年度と2022・2023年度は調べ方が違う値です(出典[1][2])。2025年度・2030年度は目標値([2][3])。
| 時点 | 1kWhあたり(工事費込み) | 種類 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2019年度 | 18.7万円 | 実績の相場 | [2] |
| 2023年度 | 12.1万円 | 補助事業の実績 | [1] |
| 2025年度 | 12.5万円(税抜) | DR補助金の目標価格 | [3] |
| 2030年度 | 7万円(税抜) | 国の検討会の目標 | [2] |
2019年度と2023年度は調べ方が違うため、単純には比べられません。それでも、数年で下がってきた流れは読み取れます。
待つかどうかは、価格だけでは決められません。補助金には受付期間と予算があり、東京都の事前申込は2027年3月31日17時までで、予算に達すれば早く終わります。[5] 来年度以降の補助の額は発表されていません。「下がるのを待つ」と「いまの補助を使う」を比べるには、いまの見積もりの額が必要です。
国の目標価格12.5万円とは?
国の目標価格は、設備費と工事費・据付費を合わせて1kWhあたり12.5万円(税抜)です。[3] 国の蓄電池補助金(DR補助金)では、この価格以下であることが補助の条件でした。[3]
対象になる工事費は「設置に必要最低限の工事費・据付費」とされています。[3] つまり、目標価格は本体と標準的な工事を合わせた額の物差しです。設置場所の造作など、特別な工事が多い家は、この額を上回ることがあります。
DR補助金は2026年5月29日に予算に達して受付を終え、SIIは再開の予定はないとしています。[4] それでも、この目標価格は「国が妥当とみなす水準」として、見積もりを比べる物差しに使えます。
7kWhなら、12.5万円 × 7kWh = 87.5万円(税抜)です。消費税10%を含めると96.25万円になります。手元の見積もりの税抜総額を容量で割り、12.5万円と比べてみてください。
補助金を引くといくら?
東京都の補助を使うと、7kWhで70万円が出ます。[5][6] 目標価格で計算した場合、自己負担は約17.5万円(税抜)です。区の補助が加わる地域では、さらに下がります。
東京都の補助は、新設で1kWhあたり10万円、上限120万円です。[5] 計算は「容量×単価」と「税抜の対象経費(国や区の補助を引いた残り)」の小さい方です。[5] つまり、補助の合計は費用を超えません。
| 地域 | 区の補助(計算) | 都の補助 | 補助の合計 | 自己負担の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 世田谷区 | なし [8] | 70万円 | 70万円 | 17.5万円 |
| 杉並区 | 定額5万円 [9] | 70万円 | 75万円 | 12.5万円 |
| 足立区 | 定額5万円(区内事業者は6万円)[10] | 70万円 | 75万円(76万円) | 12.5万円(11.5万円) |
| 江東区 | 7kWh × 1万円 = 7万円 [11] | 70万円 | 77万円 | 10.5万円 |
| 港区 | 7kWh × 4万円 = 28万円 → 上限20万円 [12] | 67.5万円 | 87.5万円 | 0円(税抜) |
前提:既存住宅・太陽光あり・蓄電池7kWh・費用87.5万円(目標価格×7kWh、税抜)。受付状況はすべて受付中(2026年10月24日確認)。[5][9][10][11][12]
港区の例は、都の補助が「87.5万円 − 区の20万円 = 67.5万円」で頭打ちになります。[5] 港区は初期実効容量で計算し、区民のみが対象です。消費税の扱いは区のページに記載がなく確認中です。[12]
江東区は太陽光との同時申請なら1kWhあたり2.5万円(上限20万円)になります。[11] 世田谷区は令和8年度、太陽光と蓄電池を補助の対象外としています。[8]
同じ補助額でも、1kWhあたりの価格で自己負担は大きく変わります。たとえば東京都の補助だけの地域で、1kWhあたり17万円なら自己負担は49万円、22万円なら84万円です(7kWh × 単価 − 70万円で編集部が計算)。
補助金の額はほぼ条件で決まりますが、自己負担は費用で決まります。自分の家の自己負担をはっきりさせるには、実際の費用を出してもらうことが欠かせません。
高い見積もりの見分け方は?
高すぎるかどうかは、「1kWhあたりの総額」「内訳の書き方」「契約のせかし方」の3つで見分けられます。どれか一つでも気になれば、ほかの会社の見積もりと並べてください。
| サイン | 目安・見方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1kWhあたり20万円を超える | 補助なし案件の標準(工事費除き15〜20万円)を上回る | [1] |
| 「一式」だけで内訳がない | 機器・PCS・工事費が分かれていない | [1] |
| 容量の書き方があいまい | 定格容量か実効容量かが書かれていない | [7] |
| 「今日だけの値段」とせかす | 国民生活センターが注意をうながす勧誘の言い方 | [13] |
| 補助金で安くなると強調する | 国の補助金を理由に契約をせかす例がある | [13] |
| 事前申込の話が出ない | 東京都は原則、契約の前に事前申込が必要 | [6] |
容量は「定格容量」と、実際に使える「実効容量」で値が違うことがあります。メーカーのカタログでは、定格9.8kWhで実効8.8kWhといった表記の例があります。[7] 実効容量で割ると、1kWhあたりの値段は1割ほど高く見えます。比べるときは同じ種類の容量で割ってください。
国民生活センターには、「この値段は今日限り」「今なら工事費が無料」とせかされた相談が寄せられています。[13] 訪問販売で契約した場合は、書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。[14]
1社だけの見積もりでは、高いか安いかを判断しにくいものです。同じ容量・同じ構成で複数社に出してもらうと、その地域の相場が見えてきます。
見積もりはどう比べる?
見積もりは、同じ物差しに直してから比べます。物差しは「税抜総額 ÷ 容量」と、補助金を引いた「自己負担」の2つです。
| 確認する項目 | 見るポイント | なぜ大事か |
|---|---|---|
| 型番と容量 | 型番、定格容量と実効容量 | 1kWhあたりを計算するため |
| SII登録 | 2026年度の登録製品か | 都は2026年10月1日以降の事前申込から2026年度登録品のみ [5] |
| 内訳 | 機器・PCS・工事費が分かれているか | 他社と比べるため [1] |
| 税抜・税込 | どちらの表示か | 都の補助は税抜の経費で計算 [5] |
| キャッシュバック等 | 商品券・ポイントの有無 | 都は対象経費から差し引く [5] |
| 支払い方法 | 振込・ローンか | 都は現金の受け渡しを対象外とし、金融機関の証明書が必要 [6] |
| 保証 | 機器・容量・工事の保証年数 | 長く使う前提の比較に必要 [7] |
| 申請の手伝い | 事前申込の段取り、手数料 | 都は契約の前に事前申込が必要 [6] |
比べ方は次の順です。
- 各社の見積もりで、税抜総額と容量(定格か実効か)を書き出す
- 税抜総額を容量で割り、1kWhあたりの値段を出す
- 住んでいる地域の補助金を当てはめ、自己負担を出す
- 保証の年数と内容、申請の手伝いの有無を並べる
保証は機種で違います。あるメーカーのカタログでは、電池ユニットの機器保証15年、15年後に初期容量の60%以上を保証する容量保証が示されています。[7] 値段が近いときは、保証の長さと内容で差がつきます。
キャッシュバックや商品券があると、その分は都の補助の対象経費から引かれます。[5] 値引きの形によって補助の額が変わることがあるため、見積書に書いてもらってください。
東京都の事前申込は契約の前に必要です。[6] 見積もりの段階で、申請の段取りまで相談できる業者を選ぶと安心です。
次にやること
物差しと補助金がわかれば、残りは自分の家の費用だけです。同じ条件で複数社の見積もりをそろえると、高いか安いかを自分で判断できます。
よくある質問
7kWhの蓄電池は、いくらが目安ですか?
見積もりは税込と税抜のどちらで比べればいいですか?
税抜でそろえると比べやすくなります。東京都の補助も、税抜の対象経費で計算します。[5]
容量の大きい機種を選ぶと、補助金で得になりますか?
東京都の補助は容量に比例し、上限は120万円です。[5] ただし補助は費用が上限で、容量を増やせば費用も増えます。必要な容量は家の電気の使い方で決めてください。
国の補助金はもう使えないのですか?
国のDR補助金は2026年5月29日に予算に達して受付を終え、SIIは再開の予定はないとしています。[4] 2026年10月時点で、後付けの蓄電池に使える国の補助金で受付中のものは確認できていません。
あわせて読みたい
出典
- 2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(経済産業省 定置用蓄電システム普及拡大検討会、三菱総合研究所作成、2025年3月7日、PDF) p.12「家庭用蓄電システムの価格水準」、p.13「容量区分別コスト」、p.14・16。2026年10月24日確認
- 定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討(定置用蓄電システム普及拡大検討会 第3回 資料4、三菱総合研究所、2021年1月19日、PDF) p.15(2030年度目標)、p.29(2019年度の相場)。2026年10月24日確認
- 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 公募要領 1.1版(SII、2026年3月26日、PDF) p.9(目標価格)、p.10(補助対象経費)、p.11(補助額)。2026年10月24日確認
- 国のDR補助金の受付終了(2026年5月29日、予算到達。再開の予定なし)はSII 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 お知らせ(2026年5月29日)による。2026年10月24日確認
- 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業(クール・ネット東京) 助成金額、助成対象経費、キャッシュバックの扱い、SII登録製品の要件。2026年10月24日確認
- 令和7年度事業の受付期間及び令和8年度事業の概要・今後の予定について(東京都環境局・東京都環境公社、2026年2月18日、PDF) 本文1・2、別紙2。2026年10月24日確認
- オムロン マルチ蓄電プラットフォーム カタログ KAND-044Q(2023年8月、PDF) p.4〜5(特定負荷・全負荷)、p.22〜23(仕様・保証)。2026年10月24日確認
- 令和8年度世田谷区エコ住宅補助金(世田谷区) Q&A(太陽光・蓄電池は対象外)。2026年10月24日確認
- 【エコ住宅促進助成】手続き案内(令和8年度)(杉並区) 2026年10月24日確認
- 太陽光発電システム及び蓄電池設置費補助金(設置後申請)(足立区) 2026年10月24日確認
- 江東区地球温暖化防止設備導入助成事業 事業のご案内(個人住宅用)(江東区、2026年4月1日、PDF) 2026年10月24日確認
- 蓄電システム(港区 創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成金) 2026年10月24日確認
- 家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!(国民生活センター、2021年6月3日) 2026年10月24日確認
- クーリング・オフ(国民生活センター) 2026年10月24日確認
更新履歴
- 2026年10月24日 新しい構成に改稿(価格の推移、区ごとの自己負担例、高い見積もりの見分け方、見積もりの比べ方、よくある質問を追加)
- 2026年10月24日 公開
次回確認予定:2026年11月24日