結論
- 太陽光の余りを夜に使うなら5〜10kWh前後、停電で家全体を1日なら10kWh以上が目安です
- 10kWh級なら、冷蔵庫・照明・通信など約300Wを1日以上使える計算です
- 東京都の補助は1kWhあたり10万円で、12kWhで上限の120万円に届きます
容量の候補が決まると、補助金の額はほぼ計算できます。実際に払う額は機種と工事で変わるため、候補の容量ごとに費用を確かめておくと比べやすくなります。
蓄電池の容量は「何に使いたいか」で決まります。昼の太陽光の余りを夜に使いたいのか、停電のときに家の電気をまかないたいのか。目的がちがえば、必要な容量もちがいます。
このページでは、国の統計で家の電気の使用量と太陽光の余りをつかみ、停電時に使える時間の目安を示します。そのうえで、容量と補助金・費用の関係を表とグラフで整理します。
容量を決めると、補助金の額はほぼ決まります。一方で、実際に払う額は機種と工事の費用しだいです。候補の容量が決まったら、見積もりで容量ごとの費用を比べると判断しやすくなります。
うちの電気の使用量は?
戸建ての電気の使用量は、平均で年間約4,930kWh、1日あたり約13.5kWhです。[1] まずは自分の家の1日あたりの量を、明細から出します。
| 区分 | 年間の電気(買った分) | 1日あたり | 出典 |
|---|---|---|---|
| 全国の世帯平均 | 3,911kWh | 約10.7kWh | [2] |
| 関東甲信の世帯平均 | 3,600kWh | 約9.9kWh | [2] |
| 戸建て全体 | 約4,928kWh | 約13.5kWh | [1] |
| 戸建て・太陽光あり | 約5,444kWh | 約14.9kWh | [1] |
環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」令和5年度の値です。[1][2] 戸建ての値はGJで公表されており、1kWh=3.6MJで編集部がkWhに換算しました。1日あたりは年間の値を365で割っています。
太陽光のある戸建ての値は、外から買った電気の量です。[1] 太陽光で発電して自分で使った分は含まれません。
あなたがやること: 電気料金の明細で、1か月の使用量を日数で割り、1日あたりの量を出します。夏と冬の月も見ておきます。
家族の人数で変わる?
家族が多いほど、電気の使用量は増えます。電気によるCO2の排出量で比べると、4人世帯は1人世帯の約2.4倍です。[3]
| 世帯人数 | 電気によるCO2(t/年) | 全体平均との比 |
|---|---|---|
| 1人 | 1.03 | 約0.6倍 |
| 2人 | 1.68 | 約1.0倍 |
| 3人 | 2.18 | 約1.3倍 |
| 4人 | 2.49 | 約1.5倍 |
| 5人 | 2.82 | 約1.7倍 |
| 6人以上 | 3.78 | 約2.3倍 |
| 全体 | 1.67 | 1.0倍 |
環境省の同じ調査(令和5年度)の値です。[3] 世帯人数ごとの電気の使用量(kWh)は公表されていないため、CO2の量で比べています。比は編集部が計算しました。
人数だけでなく、オール電化かどうか、昼に家にいるかどうかでも使用量は変わります。人数は目安にとどめ、明細の数字で確かめてください。
あなたがやること: 家族の人数と、昼に家にいる人がいるかを書き出します。
太陽光の余りはどのくらい?
太陽光のある家では、1日に売っている量が、ためられる量の上限の目安です。国の統計では、太陽光のある世帯は1日に平均約11kWhを売っていました。[1]
縦軸: kWh/日
| 時期 | 1か月の売電量 | 1日あたり |
|---|---|---|
| 5月(いちばん多い月) | 453kWh | 約14.6kWh |
| 8月 | 383kWh | 約12.4kWh |
| 11月 | 325kWh | 約10.8kWh |
| 1月(いちばん少ない月) | 225kWh | 約7.3kWh |
| 年間 | 3,947kWh | 約10.8kWh |
太陽光を使っている世帯あたりの値(2023年4月〜2024年3月)です。[1] 1日あたりは、編集部が各月の日数で割りました。
冬は売る量が減り、1日あたり7kWh台になります。平均の値では、冬の売電量は10kWhに届きません。家ごとに違うため、自分の家の明細で確かめてください。
あなたがやること: 売電の明細で、冬(12〜2月)と春(4〜5月)の1日あたりの売電量を出します。
使い方別に何kWhが目安?
太陽光の余りを夜に使うなら5〜10kWh前後、停電時に家全体を1日なら10kWh以上がひとつの目安です。目的ごとに、どの時間帯の電気をまかなうかで考えます。
「ためる量=昼の余り」と「使う量=夜の使用量」の小さい方が、必要な容量の目安です。数値は模式で、目盛りはありません。
| 使い方 | 考える量 | 容量の目安 |
|---|---|---|
| 太陽光の余りを夜に使う | 昼の余り と 夜の使用量 の小さい方 | 5〜10kWh前後 |
| 停電時に冷蔵庫・照明・通信を保つ | 必要な家電だけを約1日 | 5〜7kWh前後 |
| 停電時にエアコンなども含めて使う | 家全体を約1日 | 10kWh以上 |
容量の目安は、上の使用量と売電量、下の家電の目安をもとに編集部が置いた値で、公的な基準ではありません。
蓄電池には、カタログ上の「定格容量」と、実際に使える「実効容量」があります。必要な量は、実効容量で考えます。
| 定格容量 | 実効容量 | 差 |
|---|---|---|
| 6.5kWh | 5.9kWh | 0.6kWh |
| 9.8kWh | 8.8kWh | 1.0kWh |
| 12.7kWh | 11.4kWh | 1.3kWh |
| 16.4kWh | 14.8kWh | 1.6kWh |
あるメーカーのカタログの仕様表の値です。[4] 定格のおよそ9割が実効容量でした。差は機種で違います。
あなたがやること: 目的を「余りを夜に使う」「停電に備える」のどちらに重く置くか決め、表から容量の候補を2つ選びます。
10kWhでどれくらい使える?
10kWh級の蓄電池なら、約300Wの家電を1日以上使える計算です。メーカーのカタログは、9.8kWhの機種で285Wの家電を約29時間使える目安を示しています。[4]
| 家電 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| 冷蔵庫 | 50〜100W |
| テレビ | 100〜180W |
| 照明 | 50〜100W |
| スマートフォンの充電 | 10W |
あるメーカーのカタログの目安です。[4] 実際の消費電力は、家電の機種と使い方で変わります。
| 使い方(同時に使う電力) | 実効8.8kWhで使える時間の概算 |
|---|---|
| 冷蔵庫・照明・通信(約300W) | 約29時間 |
| +テレビを長めに(約500W) | 約17時間 |
| +電子レンジなどを時々(平均約1,000W) | 約9時間 |
概算は「実効容量 ÷ 使う電力」で編集部が計算した値で、変換のロスを含まない上限の目安です。メーカーの目安(285Wで約29時間)とほぼ同じ水準です。[4]
停電時にどこまで使えるかは、容量だけでなく機種の種類でも決まります。
- 全負荷型: 家全体に電気を送ります。エアコンやIHなど200Vの家電も使える機種があります [4][5]
- 特定負荷型: 前もって決めた回路だけに電気を送ります。使いすぎを防げますが、ほかの部屋のコンセントは使えません [4][5]
停電時に一度に使える電力(自立出力)にも上限があります。同じカタログでは、2.0kVAや4.0kVAといった値です。[4] 電子レンジやドライヤーを同時に使うと、上限を超えることがあります。
あなたがやること: 停電のときに同時に使いたい家電を書き出し、消費電力の合計を出します。
容量で補助金はどう変わる?
東京都の補助は1kWhあたり10万円なので、容量が大きいほど増えます。[6] 上限は120万円で、12kWhで上限に届きます。[6]
区の補助は、計算のしかたが区によって違います。容量で増える区と、定額の区があります。
| 区 | 計算のしかた | 7kWhの場合 | 受付状況 |
|---|---|---|---|
| 足立区 | 定額5万円(区内事業者なら6万円)[7] | 5万円 | 受付中 |
| 杉並区 | 定額5万円(3kWh以上)[8] | 5万円 | 受付中 |
| 江東区 | 1kWhあたり1万円・上限10万円(太陽光と同時申請なら2.5万円・上限20万円)[9] | 7万円 | 受付中 |
| 中央区 | 1kWhあたり1万円・上限10万円 [10] | 7万円 | 受付中 |
| 豊島区 | 1kWhあたり1万円・上限5万円 [11] | 5万円 | 受付中 |
| 港区 | 初期実効容量1kWhあたり4万円・上限20万円 [12] | 実効容量で計算 | 受付中 |
7kWhの欄は、表の計算のしかたに当てはめた額です。港区は定格ではなく、SIIに登録された初期実効容量で計算します。[12] 区ごとに、太陽光とつながっていることなどの条件があります。
東京都の外でも、計算のしかたは分かれます。千葉市は容量に関係なく上限7万円で、対象経費が7万円以上なら7万円です。[16] 横浜市は1件あたり12万円分の定額で、現金ではなくポイントなどで受け取ります。[17] どちらも受付中です(2026年10月24日確認)。
前提: 東京都・既存住宅・太陽光あり・税抜・目標価格(国の目標価格12.5万円/kWh)。
| 容量 | 東京都の補助 | 費用の目安(税抜) | 自己負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 5kWh | 50万円 | 62.5万円 | 12.5万円 |
| 7kWh | 70万円 | 87.5万円 | 17.5万円 |
| 10kWh | 100万円 | 125万円 | 25万円 |
| 12kWh | 120万円(上限) | 150万円 | 30万円 |
| 15kWh | 120万円(上限) | 187.5万円 | 67.5万円 |
前提:東京都・既存住宅・太陽光あり。東京都の補助は 容量 × 10万円(上限120万円)です。[6] 費用の目安は、国の目標価格12.5万円/kWh(税抜)で計算しました。[13] 都の補助は、税抜の対象経費から国や区の補助を引いた額が上限です。[6]
12kWhまでは、容量を1kWh増やすごとに自己負担は2.5万円ずつ増えます。12kWhを超えると補助が増えないため、1kWhごとに12.5万円ずつ増えます。
国の蓄電池補助金(DR補助金)は、2026年5月29日に予算に達して受付を終え、SIIは再開の予定はないとしています。[14] 東京都には、DR実証(電力会社の要請に合わせて充放電を調整する取り組み)に参加すると10万円上乗せする仕組みもあります。[6]
この表の費用は目標価格での目安です。実際の見積もりの単価が違えば、自己負担の差も変わります。候補の容量ごとに、実際の費用を確かめておきましょう。
あなたがやること: 住んでいる区の計算のしかたを確かめ、候補の容量2つで補助の合計を出します。
あとから増やせる?
東京都には、すでにある蓄電池にユニットを足す「増設」の補助もあります。1kWhあたり6万円で、上限は72万円です。[6] 太陽光がすでについていることが条件です。[15]
| 項目 | 新しく設置 | ユニットを増設 |
|---|---|---|
| 東京都の補助 | 1kWhあたり10万円 [6] | 1kWhあたり6万円 [6] |
| 上限 | 120万円 [6] | 72万円 [6] |
| 区の補助 | 区による | 区によって対象外(足立区は2台目以降の増設は対象外)[7] |
増設の単価は、新しく設置するより低く設定されています。[6] 足立区のように、増設を対象にしない区もあります。[7] 最初から必要な容量で入れるか、増設を前提に選ぶかは、補助の差も含めて考えます。
増設できるかどうかは、機種ごとに違います。見積もりの段階で、選ぶ機種があとから容量を足せるかを聞いておくと安心です。
あなたがやること: 将来、電気自動車やオール電化など、電気が増える予定があるかを考えます。
容量選びで気をつけることは?
容量は「大きければ安心」ではありません。使い切れない容量は、費用が増えるだけになるからです。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 昼の余りより大きくしない | 余り以上はたまらないため |
| 実効容量で比べる | 定格と実効の差は機種で違うため [4] |
| 全負荷型か特定負荷型か | 停電時に使える部屋と家電が変わるため [4][5] |
| 自立出力(kVA) | 同時に使える家電の上限が決まるため [4] |
| 補助金の対象製品か | 都は2026年10月1日以降の事前申込からSIIの2026年度登録製品だけが対象 [6] |
| 置き場所 | 容量が大きい機種ほど本体が大きく重くなるため |
同じ容量でも、機種によって価格や停電時に使える範囲が違います。候補の容量を2〜3通り決めて、それぞれの費用を見積もりで比べると判断しやすくなります。
見積もりを依頼するときは、容量だけでなく、全負荷か特定負荷か、自立出力もそろえて伝えます。条件をそろえると、各社の見積もりを並べて比べられます。
あなたがやること: 表の6項目を、候補の機種ごとに確かめます。
次にやること
容量の候補がしぼれたら、あとは費用の比較です。補助金の申請に慣れた業者から、まとめて見積もりをとると比べやすくなります。
よくある質問
あわせて読みたい
出典
- 家庭部門のCO2排出実態統計調査 太陽光発電システムについて(環境省、令和5年度) 戸建ての電気消費量(GJ/世帯・年)、月別の発電量・売電量(kWh/使用世帯・月)。2026年10月24日確認
- 家庭部門のCO2排出実態統計調査 家庭でのエネルギー消費量について(環境省、令和5年度) 2026年10月24日確認
- 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 結果について(確報値)(環境省、2025年6月、PDF) p.6 図6「世帯人数とCO2排出量」。2026年10月24日確認
- オムロン マルチ蓄電プラットフォーム カタログ KAND-044Q(2023年8月、PDF) p.4〜5(停電時の家電の目安、全負荷・特定負荷)、p.22(仕様:定格・実効容量、自立出力)。2026年10月24日確認
- 蓄電池システム(シャープ) 2026年10月24日確認
- 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業(クール・ネット東京) 助成額(新設・増設)、対象経費、SII登録機器の要件。2026年10月24日確認
- 足立区 太陽光発電システム及び蓄電池設置費補助金(設置後申請) 2026年10月24日確認
- 【エコ住宅促進助成】手続き案内(令和8年度)(杉並区) 2026年10月24日確認
- 江東区地球温暖化防止設備導入助成事業 事業のご案内(個人住宅用)(江東区、2026年4月1日、PDF) 2026年10月24日確認
- 自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成(住宅用)(中央区) 2026年10月24日確認
- 豊島区エコ住宅普及促進費用助成金(個人住宅向け)(豊島区) 2026年10月24日確認
- 蓄電システム(港区) 2026年10月24日確認
- 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 公募要領 1.1版(SII、2026年3月26日、PDF) p.9(目標価格)。2026年10月24日確認
- 国のDR補助金の受付終了(2026年5月29日、予算到達。再開の予定なし)はSII 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 お知らせ(2026年5月29日)による。2026年10月24日確認
- 令和7年度事業の受付期間及び令和8年度事業の概要・今後の予定について(東京都環境局・東京都環境公社、2026年2月18日、PDF) p.1(契約締結前の事前申込)、別紙2(新設・増設の条件)。2026年10月24日確認
- 住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金(住宅向け)(千葉市、2026年10月21日更新) 2026年10月24日確認
- 横浜グリーンエネルギーパートナーシップ事業(横浜市、2026年10月23日更新) 2026年10月24日確認
更新履歴
- 2026年10月24日 太陽光の余り(月別の売電量)、10kWhで使える時間、区ごとの計算のしかた、増設の補助を追加
- 2026年10月24日 公開
次回確認予定:2026年11月24日