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2026年10月 確認

蓄電池は何年で元が取れる?

結論

  • 回収年数は「自己負担 ÷ 1年に得する額」で計算します
  • 下の前提では、補助金なしで約29年、東京都の補助ありで約8年です
  • 費用と使い方で大きく変わり、停電への備えの価値は金額に入りません

回収年数の分子になる自己負担は、設置費用で決まります。自分の家の数字を入れるために、まず実際の費用を確かめておくと計算が具体的になります。

蓄電池の元が取れるかどうかは、計算の式そのものは単純です。払った額を、1年に得する額で割るだけです。難しいのは、式に入れる数字が家ごとに違うことです。

このページでは、数字の出どころを示したうえで、一つの例を計算します。そのうえで、どの数字が変わると回収年数がどれだけ動くかを、表で示します。寿命と劣化、停電への備えまで含めて、判断の材料をそろえます。

補助金の額は、地域と容量でほぼ決まります。一方で、実際に払う額は設置費用しだいで、業者や機種で変わります。自分の家の回収年数を出すには、最後は見積もりで費用を確かめる必要があります。

回収年数は、どう計算する?

回収年数は「自己負担 ÷ 1年に得する額」で計算します。1年に得する額は、ためた電気を自分で使うことで減る電気代です。

式に入る数字 意味 どこで確かめる
設置費用 機器と工事の合計 見積もり
補助金 国・都道府県・区市町村の補助 地域の公式ページ
1日に回せる電気 昼にためて夜に使う量 売電の明細
買う値段 電気を買う1kWhあたりの値段 電気料金の明細
売る値段 余った電気を売る値段 売電の明細

「買う値段 − 売る値段」が入るのは、ためた電気はもともと売れたはずの電気だからです。売る代わりに夜に使うと、夜に買う電気が減ります。その差が、蓄電池で得する分になります。

あなたがやること: 電気料金と売電の明細を、直近1年分そろえておきます。

補助金あり・なしで何年?

下の前提で計算すると、補助金なしで約29年、東京都の補助ありで約8年です。補助金は回収年数を大きく縮めます。

計算の前提

項目 値 出どころ
容量 7kWh このサイトの共通の前提
設置費用 96.25万円(税込) 国の目標価格12.5万円/kWh(税抜)× 7kWh × 1.1 [1]
補助金 70万円 東京都:7kWh × 10万円 [2]
買う値段 31円/kWh 電気料金の目安単価(税込)[3]
売る値段 8.50円/kWh 卒FIT後の買取単価の一例 [4]
1日に回せる電気 4kWh 仮定(編集部が置いた値)

1年に得する額 = 4kWh × 365日 ×(31円 − 8.50円)= 約3.3万円

自己負担 1年に得する額 回収年数
補助金なし 96.25万円 約3.3万円 約29年
東京都の補助あり 26.25万円 約3.3万円 約8年
都+足立区の補助あり 21.25万円 約3.3万円 約6.5年

東京都の補助は「容量 × 10万円」と「税抜の対象経費(国や区の補助を引いた残り)」の小さい方です。[2] 足立区の蓄電池の補助は定額5万円です。[5] この例では税抜の経費が87.5万円あり、区の5万円を引いても都の70万円は満額です。

国の蓄電池の補助金(DR補助金)は、2026年5月29日に予算に達して受付を終え、SIIは再開の予定はないとしています。[6] そのため、この例の合計には入れていません。

あなたがやること: 住んでいる地域の補助金の額と、受付中かどうかを確かめます。

累積収支はどう動く?

東京都の補助がある例では、8年目あたりで累積の収支がプラスに変わります。補助金なしでは、20年たってもマイナスのままです。

-100-80-60-40-20020406005101520設置からの年数万円約8年
-100-80-60-40-20020406005101520設置からの年数万円約8年
補助なし(96.25万円・税込)東京都の補助あり(自己負担26.25万円)

前提: 7kWh・税込96.25万円、1日4kWhを自分で使う、買う電気31円・売る電気8.50円。年に約3.3万円浮く計算です。

経過年数 補助金なし 東京都の補助あり 都+足立区
0年 −96.3万円 −26.3万円 −21.3万円
5年 −79.8万円 −9.8万円 −4.8万円
10年 −63.4万円 +6.6万円 +11.6万円
15年 −47.0万円 +23.0万円 +28.0万円
20年 −30.6万円 +39.5万円 +44.5万円

このグラフは、電気の値段が変わらず、劣化や故障もない場合の線です。実際の線は、次の節で示す条件で上下に動きます。

あなたがやること: グラフの線が0を越える年と、蓄電池を使う予定の年数をくらべます。

どの数字で年数が変わる?

回収年数を大きく動かすのは「設置費用」「1日に回せる電気」「買う値段と売る値段の差」の3つです。中でも設置費用は、見積もりしだいで大きく変わります。

0102030年設置費用(税抜12.5→20万円/kWh)20万円/kWh: 25.6年8.0年25.6年1日に回せる電気(6→2kWh)6kWh: 5.3年2kWh: 16.0年5.3年16.0年買う値段(37→25円)37円: 6.3年25円: 10.9年6.3年10.9年基準 8.0年(東京都の補助あり)
0102030年設置費用(税抜12.5→20万円/kWh)20万円/kWh: 25.6年8.0年25.6年1日に回せる電気(6→2kWh)6kWh: 5.3年2kWh: 16.0年5.3年16.0年買う値段(37→25円)37円: 6.3年25円: 10.9年6.3年10.9年基準 8.0年(東京都の補助あり)
基準より短くなる側基準より長くなる側基準 8.0年

1日に回せる電気を変えた場合

1日に回せる電気 1年に得する額 補助金なし 東京都の補助あり
2kWh 約1.6万円 約59年 約16年
3kWh 約2.5万円 約39年 約11年
4kWh 約3.3万円 約29年 約8年
5kWh 約4.1万円 約23年 約6年
6kWh 約4.9万円 約20年 約5年

設置費用を変えた場合(東京都の補助あり)

見積もりの単価(税抜) 設置費用(税込) 自己負担 回収年数
12.5万円/kWh 96.25万円 26.25万円 約8年
15万円/kWh 115.5万円 45.5万円 約14年
20万円/kWh 154万円 84万円 約26年

国の資料では、補助事業の家庭用蓄電池は工事費込みで1kWhあたり約12.1万円でした(2023年度)。[7] 補助事業以外では、工事費を除いて15〜20万円/kWhが標準的な水準とされています。[7] 表の15万円・20万円は、この幅をもとに編集部が置いた例です。

買う値段と売る値段を変えた場合(東京都の補助あり、4kWh)

条件 値段の差 回収年数
買う25円・売る8.50円 16.5円 約11年
買う31円・売る8.50円 22.5円 約8年
買う37円・売る8.50円 28.5円 約6年
買う31円・売る9.9円 21.1円 約8.5年
買う31円・売る24円 7円 約26年

買う値段の25円・37円は、編集部が置いた幅です。売る9.9円は2026年度の住宅用太陽光の買取価格です。[8] 24円は、2025年度10〜3月の欄に示された最初の4年間の価格です。[8] 売る値段が高いあいだは、ためて使うより売る方が得になりやすく、回収は大きく延びます。

売るのと自分で使うのと、どちらが得かは家ごとに違います。資源エネルギー庁も、一概には言えないと説明しています。[9]

見積もりの単価が1kWhあたり数万円違うだけで、回収年数は10年以上動きます。相場の範囲に入っているかを、複数社の見積もりで確かめておくと安心です。

あなたがやること: 自分の家の売る値段と、見積もりの単価(税抜、1kWhあたり)を表に当てはめます。

寿命と劣化を入れると?

回収年数が、蓄電池を使える年数より長いと、元は取れません。メーカーの保証年数と、容量の減り方をあわせて見ます。

あるメーカーのカタログでは、蓄電池ユニットの保証を15年としています。[10] 同じカタログの16.4kWhの機種の欄には、15年後に初期の60%以上の容量を保証すると書かれています。[10] 保証の内容は機種で違います。

条件 15年後の累積収支(都の補助あり) 回収年数
劣化なし +23.0万円 約8年
15年で容量が60%まで減る +13.2万円 約9年

劣化ありの行は、容量が毎年同じ量ずつ減り、15年で60%になると編集部が仮定した計算です。得する額も容量と同じ割合で減るとしました。補助ありの約8年は、劣化を入れても保証の15年におさまります。補助なしの約29年は、保証の年数を大きく超えます。

太陽光のパワーコンディショナ(電気を家で使える形に変える機器)も、いずれ交換が要ります。国の資料では、住宅用太陽光のパワコンは20年で1回の交換が一般的で、相場は約42.3万円とされています。[11] 蓄電池と一体の機種もあるため、何を交換するのかを見積もりの段階で聞いておきます。

保証の年数と容量の保証は、機種ごと・業者ごとに書面で比べられます。見積もりをとるときに、保証の条件も並べてもらいましょう。

あなたがやること: 候補の機種の保証年数と、何年で何%の容量を保証するかを確かめます。

停電への備えは金額になる?

停電のときに電気が使える価値は、回収年数の計算には入れられません。それでも、蓄電池を選ぶ理由として大きいものです。

状態 停電中に使える電気
太陽光だけ 昼間だけ、自立運転用のコンセントから使える [12]
太陽光+蓄電池 残量のあるあいだは夜も使える [12]

冷蔵庫・テレビ・照明・スマートフォンの充電なら、合計で300W前後という目安があります。[10] 同じカタログは、285Wの家電を9.8kWhの蓄電池で約29時間使える目安を示しています。[10] 保証値ではなく、使い方で変わります。

国の資料でも、災害への備え(BCP用途)として蓄電池をつける例が増えているとされています。[7] 回収年数が保証の年数に近い場合は、停電への備えをどれだけ重く見るかが判断の分かれ目になります。

あなたがやること: 停電のときに使いたい家電を3つ書き出し、必要な時間を決めます。

太陽光とセットなら何年?

太陽光と蓄電池を同時につける場合は、太陽光の分と蓄電池の分を足して考えます。下の例では、セットで約8.5年です。ただし、前提の多くは編集部の仮定です。

項目 太陽光(4kW) 蓄電池(7kWh)
設置費用 114.4万円(仮定) 96.25万円
東京都の補助 48万円 [13] 70万円 [2]
自己負担 66.4万円 26.25万円
1年に得する額 約7.8万円 約3.1万円

太陽光の費用は、国の資料にある新築の2024年設置の平均28.6万円/kWを当てはめた仮定です。[11] 既築の平均値と税の扱いは、資料の本文で確認できていません。東京都の既存住宅向けの太陽光の補助は、3.75kWを超える分は1kWあたり12万円です。[13]

太陽光の発電量は、国の想定する設備利用率13.7%で計算しました(4kW × 8,760時間 × 13.7% = 約4,800kWh)。[11] 自分で使う割合は約30%としました。国の想定する余った電気を売る割合70%から、編集部が逆算した値です。[11]

太陽光の1年に得する額は、自分で使う約1,440kWh × 31円と、売る約3,360kWh × 9.9円の合計です。[3][8] 蓄電池の分は、FITの期間中なので売る値段を9.9円として計算しました(4kWh × 365日 × 21.1円)。

セットの回収年数 =(66.4万円 + 26.25万円)÷(7.8万円 + 3.1万円)= 約8.5年

FITの10年が終わると、売る値段が下がります。[8] 太陽光の分は得する額が減り、蓄電池の分は値段の差が広がって増えます。太陽光を新しくつける家では、蓄電池の効果はFITが終わったあとに大きくなります。

あなたがやること: 太陽光も検討するなら、太陽光と蓄電池を分けた見積もりをもらい、それぞれの回収年数を出します。

回収を早める余地はある?

回収を早める余地は、主に「容量の合わせ方」「補助金の重ね方」「費用の比べ方」の3つにあります。どれも契約の前に決めることです。

工夫 効く数字 確かめること
容量を昼の余りに合わせる 自己負担 1日に売っている量より大きくしすぎない
都と区の補助を重ねる 自己負担 区の補助の有無と、事前か事後かの申請時期
複数社の見積もりをくらべる 自己負担 1kWhあたりの単価と、工事費の内訳
料金プランを見直す 値段の差 夜の単価と昼の単価の違い

容量を大きくすると、都の補助も増えますが、費用も増えます。昼に余る量より大きい容量は、ためる電気がないため、得する額は増えません。

都の補助は契約前の事前申込が必要です。[2] 区の補助は、区によって設置の前に申し込むか、後に申し込むかが違います。順番を誤ると補助を受けられないため、申し込みの順番は契約の前に確かめます。

あなたがやること: 自分の家で使えそうな工夫に印をつけ、見積もりのときに相談する項目にします。

自分の家で計算するには?

自分の家の回収年数は、5つの数字があれば計算できます。下の表の右の列を埋めてください。

項目 例 わが家
買う値段(円/kWh) 31 電気料金の明細から
売る値段(円/kWh) 8.50 売電の明細から
1日に回せる電気(kWh) 4 売電量 ÷ 日数を目安に
補助金(万円) 70 地域の公式ページから
設置費用(万円) 96.25 見積もりから

1日に回せる電気は、昼に売っている量が上限の目安です。売電の明細で1か月に売った量を日数で割ります。蓄電池の容量より多くはためられません。

数字が埋まったら、次の順に計算します。

  1. 自己負担 = 設置費用 − 補助金
  2. 1年に得する額 = 1日に回せる電気 × 365 ×(買う値段 − 売る値段)÷ 10,000(万円)
  3. 回収年数 = 自己負担 ÷ 1年に得する額

表の中で、自分では決められない数字は設置費用だけです。見積もりの金額を入れると、わが家の回収年数が出ます。

あなたがやること: 表を埋めて計算し、保証の年数とくらべます。

あなたの地域の補助金
回収年数は、補助金の額で大きく変わります。住んでいる地域の金額と受付状況を確かめてください。

次にやること

チェックが埋まらないのは、たいてい設置費用の欄です。補助金の申請に慣れた業者から、まとめて見積もりをとると比べやすくなります。

よくある質問

蓄電池は必要ですか?

家によって違います。売る値段が安く、昼に余る電気が多い家ほど、回収年数は短くなります。停電への備えを重く見るかどうかも判断の材料です。

太陽光と蓄電池は、元が取れないこともありますか?

あります。設置費用が高い、昼の余りが少ない、売る値段が高いといった条件では、保証の年数より回収年数が長くなることがあります。上の感度の表で確かめてください。

電気代が上がると、回収は早くなりますか?

買う値段が上がると、1年に得する額が増えます。買う値段が31円から37円になると、上の例では約8年が約6年になります。

容量が大きいほど、早く元が取れますか?

そうとは限りません。都の補助は容量に比例しますが、費用も増えます。昼に余る電気より大きい容量は、1年に得する額を増やしません。

区の補助があると、都の補助は減りますか?

都の補助は、税抜の対象経費から国や区の補助を引いた額が上限です。[2] 費用が十分にあれば都の額は変わりませんが、費用が小さいと都の額が減ることがあります。

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この記事を書いた人

蓄電池補助金ノート編集部

国・都・区市町村の公式ページと要綱を読み、金額と条件を毎週確認しています。運営はアースダイバー株式会社です。

運営会社:アースダイバー株式会社

編集方針と確認の方法

出典

  1. 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 公募要領 1.1版(SII、2026年3月26日、PDF) p.9(目標価格12.5万円/kWh、設備費・工事費・据付費、税抜)。2026年10月24日確認
  2. 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業(クール・ネット東京)/令和7年度事業の受付期間及び令和8年度事業の概要・今後の予定について(東京都環境局・東京都環境公社、2026年2月18日、PDF) p.1(契約締結前の事前申込)、別紙2(補助単価)。2026年10月24日確認
  3. よくある質問(全国家庭電気製品公正取引協議会) Q7 電力料金の目安単価31円/kWh(税込、2022年7月22日改定)。2026年10月24日確認
  4. 再エネ買取標準プラン(東京電力エナジーパートナー) 8.50円/kWh(税込)。単価は見直される場合あり。2026年10月24日確認
  5. 太陽光発電システム及び蓄電池設置費補助金(設置後申請)(足立区) 2026年10月24日確認
  6. 国のDR補助金の受付終了(2026年5月29日、予算到達。再開の予定なし)はSII 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 お知らせ(2026年5月29日)による。2026年10月24日確認
  7. 2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(経済産業省、三菱総合研究所作成、2025年3月7日、PDF) p.12(2023年度 設備費11.1万円/kWh・工事費1.0万円/kWh)、p.15(補助事業以外の価格水準、BCP用途)。2026年10月24日確認
  8. 買取価格・期間等(資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー) 住宅用(10kW未満)。2026年10月24日確認
  9. どうする?ソーラー よくあるご質問(資源エネルギー庁) 2026年10月24日確認
  10. オムロン マルチ蓄電プラットフォーム カタログ KAND-044Q(2023年8月、PDF) p.4(停電時の家電の目安)、p.22(保証年数・容量保証)。2026年10月24日確認
  11. 令和7年度以降の調達価格等に関する意見(案)(調達価格等算定委員会、2025年1月30日、PDF) p.18(住宅用のシステム費用 新築2024年設置 平均28.6万円/kW)、p.19 脚注(パワコン交換 約42.3万円)、p.19〜20(設備利用率13.7%、余剰売電比率70.0%)。2026年10月24日確認
  12. 停電時の自立運転について(シャープ 太陽光発電システム サポート) 2026年10月24日確認
  13. 令和7年度事業の受付期間及び令和8年度事業の概要・今後の予定について(東京都環境局・東京都環境公社、2026年2月18日、PDF) 家庭における太陽光発電導入促進事業(既存住宅 3.75kW超は12万円/kW)。2026年10月24日確認

更新履歴

  • 2026年10月24日 感度の表、劣化を入れた計算、区の補助を加えた例、太陽光とセットの例、計算シートを追加
  • 2026年10月24日 公開

次回確認予定:2026年11月24日